母学 赤ちゃんを知る。そして母になる。

未来のお母さんへ

「女子学生の方に、赤ちゃんを知ってほしい。そして、優しい母になっていただきたい。」国立小児病院名誉院長 小林登がそんな想いを込めて未来のお母様のために綴ったメッセージが「母学」です。本書に「赤ちゃんは『母子相互作用』ですくすく育ちます。」とあります。「母子相互作用」というのは、「五感」を介したお母さんと赤ちゃんの「感覚器のコミュニケーション」のことです。お互いが五感を刺激することで赤ちゃんには愛着が、お母様には愛情が育まれます。このような「母子相互作用」で母と子の絆が強く結ばれます。
ドイツの動物学者 ヘッケルは「赤ちゃんは母の胎内で進化の過程をたどり生まれてくる」と主張しました。赤ちゃんとお母さんには、進化の過程で獲得した「心と体のプログラム」があらかじめ遺伝子や脳に書き込まれていて、育てるということは、生存のプログラムに順をおってスイッチを入れそれをうまくはたらかせることで、「やさしさ」で五感を刺激すると感動し「生きる喜び一杯」になり、心と体のプログラムのスイッチが入ると著者は述べています。「母学」は、このように子どもの体の成長や心の発達に大切なことを、生物学、医学、心理学の知見を裏づけにして、わかりやすく書かれた「母になるための必携書」です。

「母学」 著者 小林 登

アップリカ育児研究所の「母学」は赤ちゃんを知って母になる。
そんな女性のための「必須講座」です。女子高生、女子大生、保育士などの教育者の方々にも教材として、ご出産ご結婚の贈答品としてもご利用ください。

母学 著者

アップリカ育児研究所 最高顧問

小林 登

1927年、東京生まれ。東京大学医学部卒業、医学博士。東京大学名誉教授、国立小児病院名誉院長、アップリカ育児研究所最高顧問。国際小児科学会会長、臨時教育審議会委員など多くの政府委員、学会役員を務めた。『子ども学』(日本評論社)『母学 赤ちゃんを知る。そして母になる。』(アップリカ育児研究所)など著書多数。  著書「母学」が、東京藝術大学社会連携センター主催 アップリカ育児研究所共催の「母学会議」のテーマテキストとなる。 小児科医師として「やさしさですべての子ども達が生きる喜び一杯になるように」と願い、世界各国を駆け巡った。国際小児科学会賞、日本医師会最高優秀功労賞など受賞歴多数。 2019年12月逝去。

母学 感覚器のコミュニケーション「母子相互作用」

感覚器のコミュニケーション「母子相互作用」で赤ちゃんはすくすく育つ
― 心と体のプログラムのスイッチを入れる ―

母子相互作用でプログラムにスイッチが入ります。母子相互作用は、人類が進化の過程で獲得した多彩な育児のプログラムを作動させて行う、目、耳、鼻、舌、肌などを介したお母さんと赤ちゃんの感覚器のコミュニケーションです。そのプログラムが作動し機能するためにも、お母さんと赤ちゃんの精神・心理状態は平安でなければなりません。
育児でもっとも本質的な親子関係が、新生児期さらに乳児期とくにその初期に確立される母子関係から始まり、父子関係に拡大されて完成されます。この母子関係は、人生で一人の人間が一生のあいだに結ぶいろいろな人間関係の原型と考えられます。母子関係が早い時間で確立しないかぎり、育児は成功しないと考えられます。お母さんと赤ちゃんのきずなは、お母さんの子どもに対する愛情と、赤ちゃんのお母さんに対する愛着から成り立っています。  
 このきずなをつくるためには、まず、赤ちゃんが生まれたら、お母さんの積極的なはたらきかけが重要です。お母さんのこのはたらきかけは、教育によってつくられるのではなく、スキンシップのプログラムによるものなので、出産後すぐにお母さんと赤ちゃんはいっしょに過ごすことが大切です。  
 そしてこの母子関係を確立し、完成させるためには、お母さんと赤ちゃんは感覚を介して、おたがいに行動によって影響しあう相互作用が必要です。これを母子相互作用といいます。母子相互作用によってお母さんと赤ちゃんの心と体のプログラムにスイッチが入ります。お母さんには母乳の分泌が、赤ちゃんには心と体の栄養が注がれて、赤ちゃんはすくすくと心と体が発達・成長していきます。感覚器のコミュニケーション「母子相互作用」が、赤ちゃんの発育の基本です。お母さんからは、「笑顔で赤ちゃんの目を見る」「抱っこ」「なでる」「語りかける」などのはたらきかけ―刺激のインプットが必要です。また、お母さんが赤ちゃんを認識し母性を確立するためには、赤ちゃんからの「泣く」「笑う」「手足を動かす」などのはたらきかけ―刺激のインプットが必要です。  
 お母さんの赤ちゃんに対する母性の獲得にとっては、分娩後1~2週間という比較的限られた期間が重要ですが、赤ちゃんのお母さんに対する愛情は、1年くらいの比較的長い時間が必要であると考えられています。動物では、短い期間におけるインプリント(刷り込み現象)の重要性が示されていますが、ヒトは不明な点が多いのです。といっても、インプリントされる可能性は否定できないので、出産直後の期間はお母さんにとっても赤ちゃんにとっても大事です。この限られた期間をお母さんと赤ちゃんの感受期“sensitive period”と呼びます。  
 お母さんは、妊娠期間の後半になると胎動を感じます。産んでからはスキンシップゆたかな子育て行動をとります。新生児や乳児は、お母さんの子育て行動によく反応します。この母子間の感覚器のコミュニケーションによって、お母さんは子どもへの愛情をつちかい、子どもはお母さんに対する愛着や愛情をおぼえます。これが母子相互作用で、母と子のきずなをつくる大きなしくみです。「吸い込まれ現象」ともよばれています。  
 このような相互作用はお父さんの場合にもあてはまります。お父さんがお母さんとおなじように子育てに積極的に参加することで、子どもとの相互作用がおこり、父性愛が確立すると考えられています。これは、お母さんとは少し違い、「のめりこみ現象」とよびます。  
親子の間はこの愛情によって心のきずながつくられますが、スキンシップなど感覚的なものがとくに重要です。生まれてすぐに母親から離し、哺乳ビンだけで機械的に飼育したサルの実験があります。このような子ザルを数匹一緒にすると、ふれあいを求めるかのように、肌と肌を密着させて片隅にすわりこみます。また、サルとしての普通の行動ができず、集団生活ばかりでなく性生活もできなくなります。一方で母親に普通に飼育された子ザルを数匹一緒にすると、自由に遊びまわります。  
 このように、母子相互作用は、生まれた直後からのスキンシップなどを中心とする赤ちゃんの感覚器へのはたらきかけと、それに対する赤ちゃんの反応行動のやりとりによって、母と子のきずなができるという考えです。お母さんは、赤ちゃんにはたらきかけるほど、赤ちゃんをかわいいと思うようになり、愛情が深まります。  
 このはたらきかけに対して、赤ちゃんは目でみつめかえしたり、笑ったり、強く抱きついたり手足を動かしたりして必ずこたえてくれます。ことばを理解できなくても赤ちゃんは誕生直後から、そのようなはたらきかけにこたえる能力がプログラムされているのです。  
 こうした、お母さんと赤ちゃんのあいだにとりかわされる合図行動(シグナル行動)と反応行動(レスポンス行動)のやりとりによって、心のきずなができます。お母さんは子育てに大きな喜びと生きがいを感じます。赤ちゃんはすくすくと育ち、お母さんに対して愛着を深めていきます。


東京大学名誉教授
国立小児病院名誉院長
アップリカ育児研究

小林 登

母学 目次

母学(アップリカ育児研究所)は以下の項目で綴られております。

序章 未来のお母さんへ
―赤ちゃんとお母さんには、ヒトの進化の過程で獲得した 「育つプログラム」と「育てるプログラム」が備わっている―open
  1. 赤ちゃんとお母さんには幸せの「心と体のプログラム」が存在する
  2. 私たちの遠い祖先はアフリカにあらわれた小型のサル―脳の進化―
  3. 赤ちゃんには進化の過程で獲得した「心と体のプログラム」があらかじめ遺伝子や脳に書き込まれている
  4. プログラムとシステムという考え方
  5. 固いプログラムと柔らかいプログラム
  6. お母さんと赤ちゃんの心の相互作用がそれぞれの心と体のプログラムを動かす
  7. 発育の五原則
  8. 理性の情報と感性の情報
  9. 「感性の情報」で基本的信頼が生まれる
  10. 育てるとは、赤ちゃんの心と体のプログラムにスイッチを入れること
第一章 おなかの赤ちゃんを知る
―胎児の心と体のプログラム―open
  1. 身長6ミリもない赤ちゃんでも心臓は脈を打っている
  2. 妊娠に気づいたときの赤ちゃんの身長は12ミリぐらい
  3. 急速に発達する脳
  4. 呼吸する練習
  5. 見る・聞く
  6. おなかの中での反射行動
  7. おなかの中でも指を吸う
  8. 羊水を飲む
  9. 歩く練習
  10. 胎児もほほえむ
  11. 胎児も考える
  12. お母さんのストレスと風しん予防
第二章 生まれた赤ちゃんを知る
―新生児の心と体のプログラム―open
  1. 産声をあげて呼吸する
  2. 生まれたばかりの赤ちゃんは目が見える
  3. 生まれたばかりの赤ちゃんは頭がさえている
    ―新生児覚醒状態―
  4. 生まれたばかりの赤ちゃんの脳の重さは約300グラムもある ―赤ちゃんの頭を揺さぶることは大変危険―
  5. 吸啜する
  6. 嗅覚
  7. 泣く
  8. 歩く
  9. 成長・発達に影響するホルモン
  10. 眠りは成長ホルモンを分泌し体の成長を促す
    ―赤ちゃんをうつ伏せ寝にしないこと―
  11. 生まれたばかりの赤ちゃんとコミュニケーションする
  12. 赤ちゃんが体温調節できない五つの理由
  13. 笑う
  14. スマイルは連鎖する―模倣のプログラム―
  15. 赤ちゃんに必要なエネルギー
  16. 赤ちゃんに必要な水分と五つの栄養成分は全て母乳に含まれている
  17. 赤ちゃんのストレス
第三章 そして母になる
―母の心と体のプログラム―open
  1. スキンシップのプログラム
  2. 母乳を分泌するプログラム
  3. 母乳の成分
  4. 母乳の免疫力
  5. 母乳の変化
  6. 母乳の出方
  7. 分泌量と赤ちゃんの体重
  8. 母乳とお母さんの健康と精神状態
  9. 母性愛と女性美をつくる「マザー・ラブホルモン」
  10. フローラはお母さんの抱っこから
第四章 感覚器のコミュニケーション「母子相互作用」で赤ちゃんはすくすく育つ
―心と体のプログラムのスイッチを入れる―open
  1. 感覚器のコミュニケーション「母子相互作用」
  2. 触覚の母子相互作用
  3. 視覚の母子相互作用
  4. 聴覚の母子相互作用
  5. 嗅覚の母子相互作用
  6. 味覚の母子相互作用
  7. 母乳と母子相互作用
第五章 五感を刺激する感性の情報「やさしさ」で生きる喜び一杯に
―感動の心のプログラムのスイッチを入れる―open
  1. 五感を心地よくすれば「生きる喜び一杯」になる
    ―紅茶とマドレーヌの記憶―
  2. 乳幼児期にニューロンのシナプスの数は最大になる
  3. 五感を刺激する感性の情報「やさしさ」は生命に感動をよびおこす
  4. やさしさと子どもの体の成長
  5. やさしさと子どもの心の発達
  6. やさしさと病気
  7. やさしさと出産
  8. 「やさしさ」の体験は「攻撃の心のプログラム」をコントロールする
第六章 教育と学習
―学びの心のプログラムと意欲の心のプログラムにスイッチを入れる―open
  1. 赤ちゃんはインフォメーション・シーカーとして生まれる
    ―好奇心のプログラム―
  2. 赤ちゃんの学びの心のプログラム
  3. マザーリーズで言葉は育つ
  4. 赤ちゃんとお母さんの「共同注視」は想像力を育む
  5. 快を感じると神経伝達物質エンドルフィンなどが分泌され報酬となり
  6. 「やる気」を起こす―意欲の心のプログラム―
  7. 記憶の心のプログラム
  8. 教育と学習
第七章 母と子の「きずな」を分娩後1~2週間でつくる
―「母学」卒業―open
  1. 母と子のきずなをつくるしくみ
  2. 愛着と自立
  3. お父さんの役割
  4. 理性の情報を担う「言葉」で軌道修正ができる思春期
最終章 赤ちゃんを定義するopen
  1. 赤ちゃんとは人間の「多様性:Diversity」の根源である
  2. 赤ちゃんとは人間の新しい生命であり、「育児」により「心」という高度な神経機能が発揮される生物である
子どもの時代の時間的区分open
  1. 子どもの時代の時間的区分

母学 赤ちゃんを知る。そして母になる。

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  • 新「育児の原理」イメージ-表紙1

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※ダンボール素材

  • 小林 登著書「母学」をテーマテキストとして、三菱地所、東京丸ビルにて「母学」会議が開催されました。
  • 東京藝術大学 主催 アップリカ育児研究所 共催

  • 第一回母学会議 赤ちゃんを知る。そして母になる。
    第二回母学会議 夢の保育園
    第三回母学会議 赤ちゃんにやさしい街づくり
    第四回母学会議 「アート・フォー・Kids」
  • 東京藝術大学社会連携センターの「母学会議を見る」